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西オーストラリアの教育は日本とどう違う?その3-英語の学び方

2013.11.19.(Tue)Chieko By.Chieko
カテゴリー:パース紹介 教育

 

主婦ライターのChiekoです!

先日、娘のPrimary Schoolで、『Parents Night』という行事がありました。

 

English1

 

夕方の1時間ほどの間、これまで子ども達がやってきた課題や、取り組んできた作品が教室に展示され、親や家族が自由に見学できるというものでした。 我が家も、家族そろって見に行きました。

担任の先生がクラスルームにいて、娘に「自分が勉強してきたことを、お父さんお母さんに説明してあげなさい。」と言いました。 娘は、展示物について、色々と説明してくれました。

娘はESLクラス(English Second Language: 英語を母国語としない子のためのクラス)に所属しています。

そのため、基本は英語の勉強ですが、英語と言っても、多岐にわたっています。 たとえば、算数も(当然ですが)英語でやりますし、お金の計算のしかたも学んだようです。 また最近は、Transports(交通機関)の歴史について勉強していたようで、昔の乗り物と今の乗り物について、違いをまとめたりしていたようです。

クラスに展示してあった「乗り物」の絵本に、息子が大興奮してしまい、そっちの相手が大変でした・・・(笑)

 

私自身が経験してきたものとは、まったく異なる環境で英語を学んでいる娘。

「私も一緒に教えてほしいー!」と思ったほどでした(笑)。

 

そこで今回は、娘を通して知った、『英語圏であるオーストラリアで、英語を話せない子ども達は英語をどのように学ぶのか?』について、書いてみたいと思います。

私が知ることができるのは、その本当にごく一部だと思いますし、私自身きちんと理解できていないところもあると思いますが、特に日本の英語教育と違うなぁー、と私なりに感銘を受けた点について、書きたいと思います。

 

  • Phonics(フォニックス)を学ぶ

娘が学校で習っていることのひとつに、Phonics(フォニックス)というものがあります。
私は、こちらに来て初めてPhonicsというものを知りました。

Phonicsとは、英語において「音と文字の関係の規則性を学ぶ」こと、と日本語サイトではよく紹介されています。

アルファベットの1文字ずつについて、どのように発音するかを学びます。

(詳しくは、ネットで『phonics 英語』『phonicsとは』『フォニックス 英語』などで検索してみてください。色んなサイトで詳しく紹介されています)

たとえば、

『a → ェア、b → ブ、c → ク・・・と発音する』

というように、日本語のサイトでは書いてありますが、実際はカタカナで表現しきれない、英語独特の母音・子音の発音のしかたです。 口の開き方、息の強弱、など、日本語のアイウエオ…とは声の出し方が違うことがわかります。

娘のクラスには、このPhonicsのポスターがたくさん貼ってありました。
文字ごとに、口の開け方のイラストが描いてあったり、その文字のつく単語の絵が描いてあったり。 カテゴリごとに単語がグループ化されてリストアップされていたり。

娘のESLクラスでは、以下のような流れでPhonicsを学んでいるそうです。

———————

phase1
(1)
a ~ z のサウンド一つ一つについて、発音を練習する。

(2)

m-a-n (man),  h-a-t (hat),  c-u-p (cup),

というように、サウンドをつなげて発音する。

(3)

at の発音を含むワード - cat, mat, sat, pat,

in の発音を含むワード - fin, bin, sin, pin

・・・というように、その発音を含む単語を練習する。

26文字のアルファベットの他に、sh, ch, ck, ss, ll, ff, th,, など、子音が二つで1文字(1発音)というものもある。
phase2
(アルファベットが)ブレンドされたサウンド(と学校では教えているらしい)について、練習する。

・phase1で出てきたもの

sh(shop), ch(chop), th(Thursday), ng(ring), など。

・新しいもの

ie(tie), oa(boat), igh(night), ee(bee), oi(oil), au(Australia), ea(each), oe(shoe), oy(boy)   など。
phase3
(娘は今ここに入ったところ)

・母音(vowel/a, e, i, o, uの5つのアルファベット) と子音(consonant)について習う。

・cvcc word(子音, 母音, 子音, 子音 の単語)  例: band, disk, rest…

の発音とつづりを練習する。

さらに、

ccvcc
cccvc/cccvcc
cvccc/ccvccc/cccvccc

というように、どんどん複雑な単語について学んでいく。

————–

このような順序で、毎日少しずつ、発音と綴りのパターンを覚えていくようです。
時々、読み方やつづりのテストがあるそうです。

Phonicsを学ぶことで、(日本語とは異なる)英語の発音の特性が身についていくと思いますし、つづりを覚えるのもラクになるかもしれません。

今は、日本の幼稚園などでも、フォニックスを取り入れているところがあるそうですね!
英語の早期教育については、賛否両論があり、とらえ方はさまざまかと思いますが、私の個人的な意見としては、子どもの時にこのような英語独特の発音(発声)に触れておくことは、将来きちんと英語を話したい、と思った時には、とても役に立つのではないかと感じます。
少なくとも、この私の年齢から、英語の発音のクセを感覚で覚えるのは、かなり苦しいことは間違いありません(笑)。

 

 
  • Recount(リカウント)の練習

English2

もうひとつ、娘が英語を学ぶ中で、重点を置かれているのが『Recount』です。

辞書で意味を引くと、

recount ― 《他動詞》…を詳しく話す、物語る、順を追って話す (ジーニアス英和辞典)

と載っています。

その言葉通り、過去にあったできごとを記述する方法を練習しているのです。

 

Recount Writing には、以下の要素を書きます。

1)Setting(登場人物、日時、場所の記述)

2)Events (出来事を順番に沿って書く、1つの段落に一つの出来事を書く)

3)Conclusion(まとめの記述、感想)

 

ある日の娘のノートに書かれている内容は、以下のようになっていました。

—————–

【先生による例文】

RECOUNT:The Beach

On Saturday, I went to the beach with my family. I went there by my dad’s red car.

At the beach, we put up a tent. Next, we changed and went for a swin. The water was very cold. Then we ate some cheese sandwiches. I also ate a vanilla ice-cream. I love eating ice-cream. After, my sister and I built a giant sandcastle.

We went home at about 4. I was tired but happy.

 

【娘のメモ】

A Recount

tells what happened in the past. (We use the past tense.)

Setting:

・Characters(who was involved)
Eg: my dad, mum, my sister, my brother, my pet dog and I.

・Time
Eg: On Sunday morning the 20th of October

・Place
Eg: Beach

*5W’s  –   Who?   When?   Where?   What?   Why?/How?

Events: (Things that you saw or did.)

In chronological order
One event per paragraph

First, then, later, next, after that, finally, in the end
※筆者注 このような接続詞を使って順番に記述していく、ということ

Conclusion: (Ending)

How it ended?
How did you feel?

—————————————-

こうして、出来事を記述する方法を学んでいます。

授業では、こうした例文を読んで書き方を学ぶ他、実際にクラスでお菓子作りをやって、その出来事をrecountとして文章に書く練習をしたり、 学校の畑の作業をみんなでやって、それをrecountとして書いたりしているようです。

日本でも、(確か小学校中学年くらい?)国語で作文の書き方を学ぶと思うのですが、それと似ているような気がします。 日本でも5W1Hというのを習いますよね。 また、遠足に行ったり、行事があったりすると、それについて作文を書きますよね。

そういうことを、英語で練習しています。

娘は最初、recountを書きなさい、と言われても、日付しか書けませんでしたが、今はなんとかconclusionまで書けるようになったようです。

 
  • そして、日本の英語教育とどう違うのか?

私は中学1年から大学まで、日本の学校で一通り英語を学んできましたが、今娘の学習しているプロセスは、私が経験してきたものとはまったく違うものだなぁ~、と、つくづく思います。

私の時は、まず最初に

This is a pen.
Is this a pen?
Yes, it is./No, it isn’t.

から入って、平叙文、疑問文、否定文・・・を覚えました。 それに続いて、文法のカテゴリーを順番に覚えていきました。

今、娘がやっているのは、「英語の読み(発音)書き(スペル)をマスターすること」「英語の文章を理解・記述できること」なんですね。 それを、簡単なものから、少しずつ複雑で難しい内容にレベルを上げていく。 そして肝心なのは、それを「体験と結び付けて覚えていく」という部分だと思います。

たとえば私自身の経験では、英語を話す練習自体あまりやった記憶がありません。
発音の練習としては、単語ごとに、クラス全員で先生の後に続いて復唱する。。。みたいなことくらい。 (これでは、自分の発音の何が問題なのか?もわからない~)

今、娘は、phonicsを学ぶことで、子音の発音から一つ一つ学んでいます。 日本語にない発音の特徴も、練習によって身につけてきています。 そして、先生が一人一人チェックしています。

さらに、学校では先生やクラスメイトとの交流も(当たり前ですが)すべて英語ですので、習った発音もすぐに自ら実践することができるし、人の発音を聞いて改善していくことができる。その環境は大きいと思います。

 

そして、recount では、学んでいるのはたいへんベーシックな文章ですが、自分の経験した出来事を英語で表現する、という第一歩に取り組んでいます。

私自身は、日本で学んだたくさんの文法が、無意味だったとは思いません。
でも、なぜ言葉が必要か?ということを考えた時に、自分の伝えたいことを他人に伝えられる、というのは重要なことだと思います。
成長するにつれて、伝えたい内容が複雑になり、それをより正確に相手に伝えたい(あるいは相手の伝えたいことを理解したい)と思った時に、文法というものがとても役に立つのではないかと思います。 それは私自身が、こちらで英語に奮闘する中で、実感していることでもあるのですが。

過去の出来事、特に実体験に即した出来事を、英語の文章で表現する。 そのための、基本的なこと(日時や場所の表し方、出来事を順番に述べる方法)をマスターする中で、文法や単語を覚えていく・・・それがrecountを通して学ぶことなのではないか、と思います。

実体験と関わりを持った形で英語が学べること、また、英語でコミュニケーションしたい相手が身近にいること。 この2つは、日本の学校で英語を学ぶのとは随分違うなぁ、と思ったところです。

 

最後に、ペアレンツ・ナイトの時に、娘の担任の先生が話してくれたことを書きたいと思います。

「○○(娘)は英語ができるようになってきた。もうすぐ(ESLの中で)1つ上のクラスに上がれると思っている。
でも○○はシャイだから、あまり自分から話さない。私は、それは英語が話せないからではなく、(日本人の)文化的なものだと思っている。
私は○○が英語を話せることをわかっているけれど、他の人達は、○○が英語を話せないと思っている。
話すこと、書くこと…によって、『○○は英語ができる』とみんなが認めるようになる。そうなるようにがんばりましょう。」

娘は、どちらかというとおとなしく、あまり目立ちたがり屋ではありません。 それでも、真面目に勉強に取り組んでいることを、先生は見てくれていました。

そして、考えさせられた点。

日本の学校では、与えられた課題に対し、期待された答えを出すことで、評価されますよね。
でもこちらでは、自分ができることを自らの行動や態度で示していく、それが大切なんだなぁ、ということです。
どんな能力も、(潜在的に)あるだけではダメで、それを『示す』という行動が伴ってこそ、初めて『能力がある』といえるのだ、と。

日本人は、自分をアピールするのが苦手だ、とよく言われるし、むしろ謙遜したり控えめにするのが美徳、という感覚もありますが、これから日本国外で暮らしていくには、自分の能力を自分自身で示すことが重要だ、と考えさせられました。
また、たとえ日本で生きて行くとしても、誰かがわかってくれるのを大人しく待っているだけではなく、自ら行動していくことで周囲に認めさせていく、そういう積極性は人生の可能性を広げるのではないでしょうか。

娘には、こちらの学校で学ぶ中で、自分を表現するということの喜びを学んでほしいです。
そして、のびのびと自分の力を発揮して生きて行ってほしいな、と願っています。

 

Chieko

Chieko
2013年4月よりパース在住。ライター&ブロガー。オーストラリアの食・子育て・生活を紹介するブログ「パースで手作りざんまい」、ネイティブ英語とは?がテーマの勉強ブログ「話す英語。暮らす英語。」執筆中。複数の企業サイトへ、食・旅行・教育に関する記事を寄稿中。2児の母。
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