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パースで、ホルモンフリーのオーガニックなオージービーフを探してみた。

2014.07.29.(Tue)Chieko By.Chieko

パース在住主婦ライターのChiekoです。

この1週間ほどは、ずっと雨続きでした。
今朝も、ちょうど子ども達が学校へ行くという時間になって、ザーッと雨が降ってきました。
このような雨は、わりとすぐにやむのですが、降っている間が結構激しいので、濡れてしまうとたいへんです。

私はここしばらく、洗濯物が外に干せなくて、なかなか乾かず、困っていました。

・・・けれど、雨がちの天気も明日まで!
木曜日以降は、しばらく晴れの天気が続くようです!!

さて、前回は、「オージービーフにはホルモン剤が使われている?ホントのところを調べてみた。」という記事を書きました。

特に私自身、なんとなく

「オージービーフ=グラスフェド(牧草を食べさせる)」
「日本の牛肉=グレインフェド(穀物を食べさせる)」

というふうに単純にとらえていたのですが、前回の記事を書いてみて、意外とそうでもないらしい、ということがわかりました。

日本の肉牛飼育の事情はちょっとわかりませんが、オーストラリアの肉牛に関しては、グラスフェドが中心ではあるものの、出荷前に肥育場(フィードロット)に移して穀物を食べさせる、ということも行われているようです。
また、グラスフェド、というと、自然の牧草を食べて育っているというイメージから、なんとなくナチュラル指向な感じがしますが、実際にはオーストラリア国内の牛肉の約40%がホルモン剤(HGPs)を使って成長を促進させているということがわかりました。
『グラスフェド』という言葉のイメージだけで完全に自然の中で育っていると思い込んではいけないな、というふうにも思いました。

ここまで調べて、

では、ホルモン剤を使わず、100%グラスフェドで、限りなくナチュラルな形で牛肉を生産しているところはあるのだろうか?

ということが、今度は気になりました。

 

  • パースから(たぶん)いちばん近い、オーガニックビーフの生産地

とりあえずネットで調べたところ、パース近郊でオーガニックビーフの生産地として有名なところが、ここ。

Dandaragan organic beef(ダンダラガン オーガニック ビーフ)

 

dandaragan_map
ダンダラガン(Dandaragan)は、パース中心部から、北に200Kmほど離れたところにあります。

私は以前、家族でこのあたりを車で走ったことがありますが、ジンジン(Gingin)というところからダンダラガンへの道は(おそらくその先もずっと)、ずーっと牧草地帯が続いていました。

 

gingin
この写真は、ジンジンに近いところで撮りましたが、実は遠くに、見えないくらいに小さく黒っぽい点が写ってるんです。
それが、牛達です!

 

 

dandaragan_gingin

こっちは羊の群れ!

ジンジンから北へ向かうと、こんな風景がずっと続いており、あちこちで、牛や羊が、のーーーんびりと歩いたり、木陰に集まって座ったり、草を食んでいる姿を目にすることができました。

お母さんの後をついて歩く、かわいい仔牛や仔羊の姿もたくさん見られました。

この時期のパースは雨が多いためか、牧草が青々と茂り、本当に美しい緑のカーペットが続いていました。

このような自然環境の中で、『牧草飼育(グラスフェド)』『ホルモン剤・抗生物質・化学物質を使用しない』オーガニックビーフを生産している農場が、ダンダラガンにあるのです。

ダンダラガンは、本当に小さい町で、私は通りかかった時、写真も撮らずに通り過ぎてしまったくらいの何もない所ですが、後になってこのような良質な肉牛の生産を行っている西オーストラリアで有名な牧場があるところだと知りました。

ダンダラガンオーガニックビーフ牧場は、牛の飼育のために、

・牧草地に、殺虫剤や人工的な肥料、ホルモン剤、抗生剤などの薬品は使用しない。
・牛を移動させる時には、ストレスを与えないよう、脅かさないような方法を取る。たとえば、牧草地を移動する時も、車やバイクで追い立てず、ホイッスルで知らせるなど。
・仔牛は最低でも9ヶ月は母牛とともに過ごさせる。(無理やり引き離さない)
・牧草として多年草を植えることで、良い土壌が作られ、よい牧草が生える。

など、自然な方法で牧草を育て、牛を生き物として、ていねいに育てているということです。
牧草の栽培から、完全に化学物質を使っていないのは、本当にすごいことだと思います。

 
  • オーガニックビーフは実際においしいの?

このダンダラガンビーフ。やっぱり普通のオージービーフとは違うのかなぁ。。。

ということが気になり、食べてみようと思いました。

以下のページに、ダンダラガンビーフを売っているお店のリストがあります。
Dandaragan Organic Beef | Where can I buy?

私はその中のあるお肉屋さんで、買うことができました。

organic_beef1
とりあえず、ということで、Porterhouse(ポーターハウス)という部位のステーキ肉を買いました。

値段は、$30/㎏でした。

普通のスーパーなどで買うと、ポーターハウスはだいたい$25/㎏前後(もちろんグレードやお店、特売価格などで異なります、あくまで私がいつも見ている感覚)なので、それと比べると割高ですね。
けれど、まぁまったく手が届かない値段というほどではないかな、という感じです。

そして、本当にシンプルにステーキにして焼いてみました。
(焼き方は、本場オージービーフのステーキを柔らかく焼きたい!おいしく食べたい!を参考に!)

organic_beef2
食べた感想は・・・おいしかったです!

驚いたのが、焼くと固くなると思われがちの赤身が、本当に柔らかかったこと。
赤身の部分が、なんていうか、ふんわりとしていると感じました。
逆に、脂身の部分は、ちょっと固く感じました。
私自身は、どちらかというと赤身が好きなので、すごくおいしく頂きました。

そしてもっと驚いたのが、臭みがないことです。
私は特に最近、だんだん歳を取ってきたせいか(笑)、牛肉や豚肉などの肉の臭みを感じるようになってきました。
なんかにおうんですね~こう、鼻につく匂いがあるんですね。
でも、この牛肉は、その独特の臭みが、まったくありませんでした!
そのため、牛肉本来の味を素直に味わうことができたように思います。
とても満足感がありました。

大切に生産されたオーガニックビーフだから・・・という気持ちも、おいしさにプラスされたかもしれませんが、何も知らない娘も「今日のビーフはおいしい」と言って食べていたので、先入観だけではない・・・ハズ!

また、今回紹介したダンダラガン以外にも、西オーストラリア州で『グラスフェド、ホルモンフリー、抗生物質フリー』のビーフを生産している農場はあるようですし、また、グレインフェドを取り入れながら、ホルモンフリー、抗生物質フリーで、えさとなる穀物の安全性にもこだわり、良好な飼育環境で育てているところもあるようです。

 
  • 食の安全とは?考えるきっかけに。

今回、「オージービーフのホルモン剤」というところにスポットを当てて、記事を書いてきました。

そして私なりに思ったことは、ひとくちに「オージービーフ」という言葉ではくくれないなぁ、ということです。

オーストラリアの牛肉生産は、国の代表的産業ということで、経済的・外交的な側面がある一方で、人間が生きる上で欠かせない『食』という観点で、大切にこだわって生産や販売に携わっている人々もいるんだな、ということがわかりました。

また、今回は、ホルモン剤ということを切り口にしていますが、もう一つ、牛肉の安全性を考える場合に「グレインフェド」か「グラスフェド」か、というのも大きなポイントのようでした。

グレインフェドの場合は、牛をフィードロット(肥育場)に入れ、穀物飼料を与えます。
牛の運動を制限しつつ、穀物を与えることで、牛を太らせることが目的です。
そのため、フィードロットの中では、狭いスペースにたくさんの牛が集められていることが多いそうです。
たくさんの牛が密集するため、病気が蔓延しやすい・・・それを防ぐために、えさに抗生物質が投与されることも多いのだそうです。

アメリカでは、こうしたフィードロットの穀物飼育による牛肉生産が非常に盛んだそうで、さらに、ホルモン剤も多く使用されているといわれており、日本国内でもアメリカ産牛肉の危険性を指摘する声があります。
(もちろん、アメリカで生産しているすべてのビーフがそうである、というわけではないだろうと思います)
前回の記事に書いたように、残留ホルモンの影響の危険性とともに、フィードロットで抗生物質を過剰に投与された牛を人間が日常的に食べることで、耐性菌が出てきて抗生物質が効かなくなるということが人間にも起こりうる、と指摘されています。

オーストラリア国内では、和牛の霜降りのような柔らかい肉質にするために、グレインフェドを取り入れている場合もあるようですが、その際には、抗生物質を使っていないとか、与える穀物が安全なものであることが、重要なポイントなのではないかと思いました。
また、牛のストレスをできるだけ減らすために、十分なスペースを確保するなど、フィードロットの環境も大切かもしれません。

そして最初の疑問。

「オージービーフにはホルモン剤が使われているのか?」

についてですが・・・今や日本に輸入されているいわゆる安価な「オージービーフ」は、確かにホルモン剤が使われている可能性が捨てきれません。
というのは、日本はホルモン剤を使った牛肉の輸入を、禁止していないからです。(ホルモン剤を使って肉牛を飼育することは禁止している)

しかし、すべてのオージービーフにホルモン剤が使われているか?というと、そういうわけでもなく、ここ西オーストラリアでも、確かにホルモン剤や薬などをできるだけ排除し、自然に近い形で牛を飼育している生産者もいるということです。
そして、そうした牛肉を取り扱う小売業者や、それを買い求める消費者がいるということです。

私は、そうした本当に良質な「オージービーフ」を、日本にいる人々もバリエーションの一つとして味わうことができたらいいだろうなぁ、と思います。

この現代の生活において、完全に人工的な薬品や化学物質を排除することはかなり難しいことかもしれません。
また私自身の考えとして、『食』というのは生きるために欠かせないものであるとともに、楽しみでもあり、時としてコミュニケーションや文化交流のツールでもあり、色んな角度で役割をもっていると考えています。
また、主婦にとって買い物とは、常にお財布の中身との戦いでもあるわけで・・・日々の食事というのは、そうしたさまざまなバランスの中にあり、その中で「安全」というものをどれだけ追求するか、というのは、正直、大変難しい問題です。

ただ、「安いものを大量に生産する」ということがどういうことなのか?この「安さ」はいったいどこから来ているのか?
そういうことを考えることは大切なんじゃないか、と思いました。
「食べ物が安い」ということは、いったいどこの部分のコストが削られているのだろう。
食というのが、現代の経済活動の中で、ある程度技術を用いて効率化されていくのは仕方ないとしても、お金をたくさん生み出すがために、過剰に化学物質や薬を用いて、動物や植物の本来の在り方をゆがめてまでも効率性を求めてしまうのは、やっぱりよくないんじゃないか、という気がします。
それは巡り巡って、人間自身の命をゆがめてしまうことになるのでは・・・そんなことを、今回の記事を書いていて、思いました。

食べるということは、自然の恵みをいただく、ということ・・・それは忘れたくない、と思いました。

 

 

 

Chieko

Chieko
2013年4月よりパース在住。ライター&ブロガー。オーストラリアの食・子育て・生活を紹介するブログ「パースで手作りざんまい」、ネイティブ英語とは?がテーマの勉強ブログ「話す英語。暮らす英語。」執筆中。複数の企業サイトへ、食・旅行・教育に関する記事を寄稿中。2児の母。
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