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DeNAのまとめサイト閉鎖から、キュレーションサイトの問題点を考えてみた

2016.12.12.(Mon)Masahiro Natori By.Masahiro Natori
カテゴリー:インターネット 雑談

こんにちは、masaです。

ちょっと乗り遅れた感もありますが、最近話題になっている、「WELQ」という医療情報のキュレーションサイトをはじめとする、多数のキュレーションWebサイトの閉鎖問題について、書いてみようかと思います。

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事件の概要・発端と今までの経緯


こちらの問題ですが、表面的な部分としては正確性が重要視される医療情報を公開しているWebサイトの内容が、医療情報について知識のある者ではなく、医療の専門家でもない一般のライターが依頼されて書いていたということ、さらにその記事の内容が他のサイトの内容を一部、あるいは全部をそのまま転用していることが(ようやく)明るみになったこと、というのが発端になっています。

このWELQを運営していたDeNA(ディーエヌエー)という会社は、この事態を重く見て、同社が運営していた9つのキュレーションサイトを全てサービスを停止し、自社ではなく、外部専門家によって構成される第三者調査委員会を設置して、事実関係の調査を行なうことを決めたそうです。(のちにMERYというサイトも公開を中止し、サービス停止は10のWebサイトになりました。)

これを受けて、同じようなキュレーションサイトを運営していた、リクルートホールディングス、サイバーエージェント、ヤフーなどもそれぞれ著作権問題などによりサイトのサービス停止、閉鎖などという処置を取ったという感じになっています。

問題点1(著作権)


実際に明らかに著作権に違反しているかどうか、というのは判断が難しいと思います。もちろん、そのWebサイトの内容を転用していることは問題であることは間違いありません。
完全にコピーすれば、アウトと言えるが、微妙に変えることによって完全に写したと言い切れない状態にするという、なんともいやらしいやり方をしているな、と感じました。

文章については、このような感じで微妙なリライトををしつつコピーされたようですが、写真についても無断使用がひどいようです。転載元の写真・画像をそのまま直接リンクして表示したり、画像自体を自分のサーバーにコピーして、小さく転載元を表示していたようなケースもあるようです。画像転載と著作権については、こちらのページがとても詳しいです。

参考:
MERYやWELQ問題を受けて押さえておきたい、画像直リンクと画像無断使用の違法性 | STORIA法律事務所ブログ

こちらの問題、ずいぶん昔にGoogleが「イメージ検索」をはじめた時にも問題になりました。Googleイメージ検索では、他のサイトで、アップロードされた画像を検索結果として一覧表示できるようになっているからです。これは無断での転用ではないか、ということで当時議論になったのですが、アメリカでは検索エンジンによる人の著作物を収集、リスティング、表示する行為については「fair use(公正な利用)」という著作権の特例として認められていて、日本でも検索エンジンが各サイトの情報を収集して検索できるようにすることは、特例として認められている状況だそうです。

参考:
第1回 「検索エンジン」と著作権:ネットサービスと著作権のしくみ|gihyo.jp … 技術評論社

ワタシがブログを書くときにはなるべく自分で撮影した写真を使います。外部のイメージ画像を使う場合には必ず著作権フリーのものを利用するようにしています。ネットで検索してみると素晴らしい写真が見つかることがありますが、それを無許可で転載することは後になって問題となることがありますので、絶対やりませんし、やるべきではありません。

今回明るみになった部分で驚いたのは、このようなキュレーションサイトで行われていた記事の作成方法です。キュレーションサイトというのは「一般のユーザー」が、まとめ記事を作成して投稿しているものだと思ったのですが、こちらのサイトでは、サイトの運営者側が多数のライターに大量に記事作成を依頼していたということです。つまり全部そのサイト運営者の指示で検索に引っかかりやすいトピック情報を元に記事が作成されていたということです。

さらに、その記事作成方法ついては運営者から提示されたマニュアルがあったということです。そのマニュアルには著作権に引っかかっていると分からないように、元記事を書き直すテクニック、検索エンジンに引っかかりやすくするための書き方テクニックが盛り込まれていたそうです。

そういう書き直された記事を大量に投稿することで検索エンジンは「このサイトは充実した内容が頻繁に多く投稿されているサイトだ」と判断して検索順位を上げ、やはり検索エンジン上位に表示されているので、大量のアクセスがあったと思われます。事実、DeNAのまとめサイトが閉鎖されてアクセス数が急増したという話もあるようでした。

問題点2(アクセスの横取り)


キュレーションサイト(まとめサイト)というのは、特定の項目について言及しているサイトを集めて、その一部や全部を掲載しているようなサイトです。つまり、掲載内容は複数の人が書いた記事を集めた内容になります。一人で書いた個人ブログより、複数の人が書いた記事が集まっていれば、内容自体は多く、濃くなりますし、コンテンツ自体は検索エンジンに引っかかる確率は高くなります。そうやって、まとめサイトに転載されることにより、本来は自分のサイトに訪れるはずだった訪問者をまとめサイトなどに取られた、と感じている人も少なくないようです。

私は、まとめサイトは便利なのは分かるのですが、なんとなく「ずるい」という風に感じていました。確かに探している情報について、自分で1から調べて回るよりは、誰かがまとめた情報をサラッと読んだ方が簡単に知識を得られて便利というのも分かります。でもそれは、本来何時間も掛けて記事を書いた人のところへ訪問されるはずだったアクセスを横取りしているように感じます。

また、元のサイトから一部を抜粋して表示することにより、ブログ全体を通して読んだ場合と、抜粋された一部を読んだ場合で、読者に対する印象が変わってしまう恐れもあると思いました。投稿者の許可無く記事の一部のみ引用する行為はやはり失礼に当たる場合があると感じます。

問題点3(利益の横取り)


最近はWebサイトへ広告を掲載しているサイトも多くなってきました。弊社のブログにも掲載させていただいています。この記事の下のほうに表示されている広告がクリックされると、1回1回は微々たる額ですが、弊社への収入になります。広告収入が増えるかどうかは、アクセス数と密接な関係があります。
広告を掲載しているWebサイトでは、

「多くアクセスされる → 広告収入も多くなる」

という図式が一般的に成り立っています。

「まとめサイトにアクセスを奪われる → 広告収入が減る」

となりますし、まとめサイトは記事をまとめるだけで

「多くアクセスされる → 広告収入も多くなる」

となるわけです。まとめサイトに記事を転用された人にとってはアクセスも奪われ、本来自分のWebサイトに訪れるはずだった人も奪われて、その人がクリックするかもしれなかった広告収入まで奪われてしまう、ということになります。
記事を断りなしに転用された上に、このようにアクセス数、利益まで奪われてしまうことは大変に大きな問題です。

まとめとワタシが思うこと


今回出てきたキュレーションサイトの問題は確かに大きな、改善が必要な問題ですが、ネット上にある問題というのはこれだけでなく、まだまだ多くの改善されるべき問題があると感じています。もちろん、そういう問題を一つ一つ改善していくべきなのですが、一般の社会から犯罪を撲滅するのが難しいように、ネットの問題を一掃するというのはとても難しいことだと思います。

今回話題になった問題はネット企業を中心とした大きなものですが、これと同じような著作権に反する行為はキュレーションサイトだけでなく、実はネット上にあふれています。ルールをきちんと知らない一般の方によってやられている場合もあると思いますし、ルールを知っていてもわざとやられている場合もあるかと思います。ネットに触れる年齢がどんどん低年齢化している現状もあるので、そういうネットでやっていいこと、いけないことについて、一般の人もネットに触れる前にもう少し知識を持ってもいいのではないかと思います。ネットは無法地帯ではなく、社会と同じいろいろなルールがあります。自動車には自動車学校があり、運転の方法や交通ルールを学ぶ機会があります。ネットには現状ではそれがありません。

私が小中学生だった時代は、パソコンを持っている人はほとんどいませんでした。もちろんネットも一般的に使われているものではありませんでした。その時期に比べると、パソコンはどんどん進化し、一家に一台から、一人一台、一人複数台を持つような時代になりつつあります。インターネットもダイアルアップ、テレホーダイ、ISDNの時代があり、その後ようやくADSLのような常時接続が可能になり、日本では光回線での高速インターネット接続可能になっています。もちろんパソコンだけでなく、iPhoneの登場した2007年以降、スマートフォン、タブレット端末など、自宅や会社だけでなく、移動中にまで自由にネットが使える世の中になっています。このように、パソコン・スマホ・インターネットが社会のインフラになっている社会状況からして、ネットについて学ぶ機会を絶対に持つべきだと思います。

私にはハイスクールに通う娘がいるのですが、オーストラリアではハイスクールから1人1台ノートパソコンを持つようになっています。各授業でも教科書がネット経由で提供されたり、Wordや、PowerPointで提出する課題も多くあり、いろいろなカリキュラムへITが組み込まれています。また、親への連絡もメールやSMSで発信されて来ますし、生徒の成績をネットで確認できるようになっていたりもします。こういう点ではオーストラリアのIT教育はだいぶ進んでいると感じます。娘からもパソコンの使用方法やネットについて色々と聞かれることもあるので、その都度、教えるようにしています。

日本では学校教育のなかにどのようにIT教育が組み込まれているのか文部科学省のWebサイトを調べてみたところ、最新の平成27年3月に更新更新された小学校、中学校の指導要領というものが見つかりました。中身がサラッと見てみたのですが、、私が小中学生だった約30年前とほとんど変わらないことが書いてありました。これにはちょっと驚きました。

小学校学習指導要領(平成27年3月):文部科学省

中学校学習指導要領(平成27年3月) – 1356251_1.pdf

どうやら、日本ではパソコンという言葉すら学習指導要領には入っていないようです。ではいったい、パソコン・ネットの使い方についてどうやって学ぶのでしょうか?

パソコンを使うとき、ネットを使うときには、使う本人も使わせる親にも知っておかなければいけないことが多くあると思います。たとえば、パスワードの設定方法や、人にパスワードを教えてはいけないということ。人の著作権は尊重しなければいけないこと。ネットを見ているとどんな危険があるのか、そして、トラブルに巻き込まれてしまったらどうしたらいいのか。こういうことを多くの人が学ばないままネットを使っているような気がします。

ネットでは車と違って他人に被害を与えるような事故にはならないと思っている人もいるかもしれませんが、実際には、ウイルスに感染した状態のまま、パソコンやインターネットを使い続けることで、あなたのパソコンがスパムメールの発信源になって、それによって別な方が迷惑や被害を受けていることも十分考えられます。

ネットの世界はとても便利ですが、現実社会と同じように多くの事故やトラブル、犯罪が手ぐすね引いて待っています。もっと多くの人にこういう問題があるということを知ってもらいたいですし、それによりトラブルを起こす原因となったり、トラブルにに巻き込まれないしないような、自衛の手段を学んで欲しいですし、そういう人が増えていくことで、ネット社会自体がもっと成熟したものに、向かうのではないかと考えています。

おまけ、プログラムの必修化について


現在の学校教育にITがどのくらい組み込まれているのか、ということを調べていたら、なんと2020年には小学校からプログラムを必修項目にするという動きがあるそうです。

小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ):文部科学省

プログラム。確かに重要なポイントではあります。パソコンで動く全てのアプリケーションはプログラムで書かれているので、それがどのように作成されているのかスキルとして学ぶことは悪いことではないと思います。しかし、いきなりパソコンの知識も十分でないうちからプログラムを学習するということは正直「どうなんだろう?」と思ってしまいます。車を運転する楽しさを習う前に、車の内部構造、燃焼機関の効率化を学ぶようなもののような気がします。そんなのって勉強させられたって面白くないと思いませんか?

まずはプログラムよりもっと以前に知識を持っておいたほうがいいこと、パソコンでどんなことが出来るのか、基本的なパソコンの操作方法や、どういう場面でどんなアプリをつかったらいいのか、ファイルとは何なのか、他の人とファイルをやり取りする方法。ネットがどのように構築されているのか、メールの基礎知識、トラブルをどのように避けるか、などなど、パソコンを使う上で必ず必要になる基本的なスキルをキチンと身につけるほうが先なのではないかと思います。そういうステップがないままいきなり「プログラムとは」「メモリとは」なんてやってもはっきり言ってムダだと思います。

このまま行くと、このプログラム学習も「文法ばかりの英語学習」と同じように、返ってパソコン・プログラムアレルギーの人を増やすだけの残念な結果になってしまうような気がしてしょうがないです。

Masahiro Natori

Masahiro Natori
こんにちはMasaです。39歳の時に16年勤めた会社を辞め、2013年4月に家族で日本からパースに引っ越してきました。2013年6月よりGITSに勤務。2014年1月にGITSのサポートでProgrammerとして457ビザを取得。 趣味は音楽を聴くことと、部屋のレイアウトを変えること、ドライブすること。
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