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【特集】パースで輝くビジネスパーソン 第2回:Ninja Cuisine 春山奈央さん・平田恵さん

2016.12.15.(Thu)Azumi Sento By.Azumi Sento

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フードバンで日本の食文化をパース各地に発信中。
将来は日本食だけを集めた屋台のマーケットを開催したい。


第2回 Ninja Cuisine(ニンジャ クイジン)
春山奈央さん・平田恵さん

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たこ焼き、焼きそば、お好み焼きなど、日本ではおなじみの屋台の味。この味をパースに広めようと、イベントやストリートにフードバン(移動販売車)で出向き、屋台を開いているNinja Cuisineの春山奈央さんと平田恵さん。平田さんは、弊社GITSの代表でもありながら、ライフワークとして日本の屋台の味を発信することにも力を入れています。これまで夜と週末のみの出店だったのを日中も販売できるように体制を強化して本格営業を2016年12月からスタート。お2人とも、たこ焼き、お好み焼きの本場・大阪出身ということもあり、その味にはこだわりあり。海外で日本食を販売する屋台ビジネスの面白さやこれからの夢を語っていただきました。
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●パースに来るきっかけは?また、これまで何をしていましたか?

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平田さん(左):もともと母親がパースで語学留学をしていて縁があり、高校卒業後19歳でパースに来ました。専門学校や大学でITについて学び、その間、日本の大手旅行会社のドライバーガイドをしたり、知人のweb制作・サポートの仕事などをした後、弊社GITSを本格的に始めました。

春山さん(右):私と平田さんは大阪出身で、平田さんとは大阪で知り合いました。日本では病院に勤めていて、平田さんからパースはいいところだから遊びにおいでよと言われ、職場の休暇を利用して旅行したのがきっかけです。その時、パースの雰囲気がとても気に入って、ここに住んでみたいと自然に思えて、2012年に長期滞在しようと再びパースを訪れました。

●なぜ、今のビジネスをはじめようと思ったのですか?

平田さん:パースに来たばかりの頃から、日本人学校などのイベントでたこ焼きを販売し、その売上を寄付するというようなボランティア活動をしていました。当時、たこ焼き屋がパースにはなかったので、大阪の味をパースに住んでいる人に知ってもらいたいという思いがありました。また、年に1度は知人を集めて交流を深めるたこ焼きパーティーを開いています。利益のためというよりは趣味でたこ焼きを作っていた経緯がありました。

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Ninja Cuisineを始めたきっかけは、約2年前、弊社が運営しているパース通信の総合掲示板で「屋台ビジネスを売ります」という投稿を見たことからです。当時、フリーマントルのGrowers Green Farmers Marketで、Ninja Cuisineとして屋台を出していた女性が、機材や販売場所、ノウハウなども含め、営業権を販売しようとされていました。屋台ビジネスにも興味があったので、すぐに連絡してお店を見に行き、ビジネスを買うことをその時即決しました。その方から3回ほど指導を受けた後、自分たちだけでお店を開くようになりました。その方は、焼きそばと餃子のみ販売していたので、新たにたこ焼きをメニューに加えました。

その後、ビジネスを譲り受けた時と同じ営業形態であるテントでの販売を1年ほど続けました。ただ、毎回イベントごとに機材のセッティングをすることが大変だったことや、フードバンでの販売の方が利益率や自由度も高いと感じるようになり、フードバンでの屋台出店を目指すことにしました。たこ焼きが焼けるフードバンをオーダーメイドで制作し、市役所で路上販売の許可などを済ませ、2016年2月からフードバンでの販売を始めました。

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●これから出店先や営業時間を増やしていくと伺いましたが?

春山さん:はい。これまでは、夜と週末のみ屋台をオープンさせていましたが、日中の営業も始めました。私はパースに来てから、はじめは平田さんのたこ焼き販売を手伝っていました。Ninja Cuisineの営業権を得てからも日本食レストランのアルバイトと掛け持ちしながら屋台を運営していましたが、フードバンが完成し、出店可能な場所も増えたこともあり、こちらの経営に力をいれたいと思い、先日、日本食レストランを退職しました。

本格営業のため新しいスタッフも採用しましたし、自分自身もこちら一本に力を注ぎ、今後はさらに出店先や営業時間も増やし、週7日営業を目指して屋台を盛り上げていけたらと思っています。

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●どこでNinja Cuisineの屋台フードが食べられますか?

春山さん:現在、月、木、金、日曜日にマーケットや店舗の駐車場などで販売をしています。また、イベントなどにも不定期で参加しています。例えば、これまで在パース日本国総領事館の依頼でPerth Japan FestivalやWorld food festhivalに出店しましたし、大学のスポーツ大会に出店したこともあります。出店のスケジュールについては、ウエブサイトをご覧ください。

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●Ninja Cuisineのメニューの特長を教えてください。

春山さん:日本食レストランでの定番メニューである寿司や天ぷらとは違った日本の屋台の味を提供している点です。今、たこ焼き、焼きそば、お好み焼き、餃子、デザートとして今川焼き、たい焼きをメインで販売しています。大阪で生まれ育ったので、小さい頃から粉物には馴染みがあり、その作り方や味付けで商品を提供しています。

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特にオススメしたいのがたこ焼きです。私は地元で食べた天かすがたっぷり入ったたこ焼が好きで、その雰囲気に近づけたかったのと、風味づけとしてかっぱえびせんを砕いてたこ焼きに入れています。

平田さん:オーストラリアの方の口に合うような工夫もしています。例えば、大阪では、たこ焼きの中がふわふわでとろりとしているのが一般的で、本当はこの味をそのまま提供したいのですが、パースでは「生っぽい」と受け入れられなかったこともあり、こちらの方の口に合うような硬さに調整しています。

また、ベジタリアン、ビーガンの方用の餃子を用意していて、この餃子が好きでたくさん買ってくれるリピーターの方がいます。

●開業するまでに苦労したことはどんなことでしたか?

春山さん:フードバンでの販売を決め、営業を開始するまでが大変でした。まず、パースにはフードバンで出店している日本人がおらず、何から始めたらいいか情報がありませんでした。幸い、知り合いがオーダーメイドのフードバンづくりを引き受けてくれて制作が始まりました。ここで問題になったのがたこ焼き機です。日本からたこ焼きの鉄板を取り寄せたのですが、ガスの使い方なども含め、オーストラリアの規定に合っていませんでした。使用許可がもらえるようにたこ焼き機の取り付け方を改良するのが本当に大変でした。

苦労の末、フードバンができたので販売に力をいれようと意気込んでいたのですが、今度は、市役所から路上販売の許可がおりませんでした。2ヶ月後にやっと許可が下りたのですが、ちょうど冬だったのでイベントが少なく、出店先が見つからず、営業準備は整っているのに販売できないという日が続きました。Inglewood night marketに出店交渉に行った際、ついに許可がもらえ販売先が確保できました。そこからの縁でPerth food van associationに加盟して販売場所が一気に広がりました。

現在ではBayswater市役所やFremantle市役所と直接交渉の末、各地区で路上販売を行える許可をいただきました。

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また、メニューの料金設定にも悩みました。オーストラリアは、飲食費の物価が高いので、日本人の感覚だと高すぎると感じる料金設定がどの屋台でもされています。はじめの頃は低い料金設定をしていて、他の屋台のオーナーから安すぎるというご意見をもらい、その後、料金を見直しました。オーストラリアでの物価の感覚に合わせるのも大切だと学びました。

●仕事をするうえで大切にしていることはどんなことですか?

春山さん:お客さんを待たせすぎない接客を心掛けています。また、お客様の思いに寄り添いたいとと考え、アドバイスや意見はできる限り取り入れています。例えば、以前はお好み焼きはメニューになかったのですが、お客様からお好み焼きを食べたいという声をいただき、メニューに加えました。

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ディスプレイもお客様に分かりやすいように工夫しています。勉強もかねて、いろいろなイベントに出かけてフードバンを見たり、食べたりすることも楽しみのひとつです。そんな時に気付いたのですが、私たちのメニューは日本のストリートフードなので、日本人以外には、写真だけや文字だけでは理解されにくいと思い、メニューの見せ方にもこだわりました。ですので、メニューを写真付きで掲載し、デザインも統一感がでるようなデザインにしてもらい、さらに何を材料として使っているか紹介文も添えることにしました。

オーストラリアではベジタリアンの方も多く、使っている食材を知りたい人が多いです。肉や紅しょうがなど取り除いてほしいという要望があればお答えしていますし、このメニューの紹介方法がお客様の助けになっていると感じています。

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●パースで働くことの面白さはどんなところですか?

平田さん:日本食の文化を海外の人に知ってもらえるこの仕事は本当に面白いです。日本食が好きな人がパースには多いと感じますが、まだまだ日本食のお店が足りていないと聞きますし、屋台フードのお店はもっと少ないです。こちらでまだ販売されていない屋台フードのお店を出せば、受け入れられる可能性は大いにあります。

特に、フードバンでの販売は狙い目です。まず、フードバンで営業している日本人は、パースではおそらく私たちが初めてなので希少価値があります。また、マーケットやイベントなどに申請しての出店は、出店料が発生しますし、マネージャーとの良好な関係を維持しないと出店できなくなるというリスクがあるのですが、フードバンでの路上販売は、市役所からの許可が得られれば基本的にどこでも販売ができます。売上を上げてビジネス化するという意味でも大きなチャンスがあると感じています。

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●これからの夢、やってみたいことは?

春山さん:私たちの目指したいことは、日本の屋台文化をパースに広めることです。たこ焼きや唐揚げ、かき氷などオール日本の屋台の味が並ぶマーケットのような場をつくり、将来的には月に1回、または、週に1回のペースで開催して、パースに住む人に日本の味を楽しんでもらえたらと思っています。ですので、屋台メニューでビジネスを始める人が増えてほしいですし、サポートしたいと思っています。

今年11月、ワーキングホリデーで来ている男性2人がVitoria Park Farmer’s Marketでかき氷屋をオープンさせました。彼らから相談を受けたので、出店についてのアドバイスをさせてもらいました。また、私たちの屋台でもワーキングホリデーで来ていて、今後は自分の屋台を持ちたいという夢を持っている女性スタッフが働いてくれています。一緒にお店をつくり上げながら、ノウハウを学んでもらえたらと思っています。

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平田さん:日本食を売るビジネスには可能性がまだまだあると感じているので、パースに来ている特に若い世代に頑張ってほしいと思っています。せっかく海外に来ているのだからこれまでできなかったことにチャレンジしてほしいですし、応援したいです。将来的には、フードバン経営の日本人向けのセミナーなども開催してみたいです。

●最後に、パースの魅力はどんなところだと感じていますか?

平田さん:天候がとにかくいいことです。暮らしている人もゆったりしていますし、生きづらくないと感じます。マーガレットリバーまで少し遠出して、ワインを飲みながら過ごすという過ごし方が私のオススメです。

春山さん:人によって感じ方が違うとは思うのですが、私はパースは都会すぎず田舎すぎないところがいいなと思っています。また、空がとっても広く、空気がきれいです。パース市内からすぐ行けるキングスパークやビーチなどでのんびりするのが好きです。


◆◆◆特別企画◆◆◆

=Inglewood night marketのお客様に突撃インタビュー!=
2016年11月28日(月)のマーケットを訪問。19時頃から家族連れなどで賑わい、NingaCuisineのお店には行列が。多国籍のお客様が屋台メニューを買って、日本の屋台の味を楽しまれていました。

Q:「今日はなぜNingaCuisineを利用したのですか?」

●Jill Pearceさん & Gavin Kerrさん
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国籍:オーストラリア / 買ったもの:焼きそば / お店利用回数:初
日本食が好きだからです。違った味を試してみたいと思い、焼きそばを選びました。とても味が美味しいです。ラブリー!たこ焼きは食べたことないですけど、次回試してみたいです。

●Tania Meriganさん
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国籍:オーストラリア  / 買ったもの:焼きそば / お店利用回数:何度も
今年の2月に大阪に行って、お好み焼き、焼きそば、たこ焼き、餃子を食べて屋台のメニューが好きになりました。何度もこのお店で買っているのですが、本場の味がしますし、本当に美味しいです。いつも気分で何を買うか決めるのですが、今日は焼きそばの気分でした。ここはクレジットカードでの支払いができるのもいいです。

●Miranda Pozzo&Donovan woodsさんimg_8290
国籍:カナダ / 買ったもの:餃子 / お店利用回数:初
ワーキングホリデーでオーストラリアに来ていてパースを旅行中です。滞在先のホテルの近くでこのイベントをやっていたのでたまたまきました。行列ができていたのと、日本食が本当に好きなのでこのお店で買うことにしました。特に日本の餃子が好きで選びました。味は新鮮な食感で、美味しかったです。

●Lam Man Yee&Jet siuさんimg_8294
国籍:香港 / 買ったもの:お好み焼き / お店の利用回数:初
ワーキングホリデーでパースに来ています。大阪に今年初めに行ってお好み焼きを食べましたが、とても美味しかったです。この味が懐かしかったので今日買いました。あと、他のお店のメニューも見たのですが、ハンバーガーなどほとんど似通っていて、ここだけメニューが違っているなと思って選びました。
日本の屋台の味をパースに集め、屋台の文化を発信したいという思いを持つ春山さんと平田さん。NingaCuisineを尋ねれば、日本の屋台の雰囲気と味が楽しめて、懐かしさが感じられます。多国籍のお客様にも愛されているこの味をぜひ堪能しに出かけてほしいです。また、日本食を通して、日本の文化や食を伝える海外でのフードビジネスにはやりがいを感じます。パースで屋台出店を考えている方は、NingaCuisineへ足を運んでみてください。やさしく気さくなお2人からいいアドバイスがもらえることでしょう。将来、パースでいろいろな日本の屋台フードが楽しめる日が来ることを期待しています。

DATA

NingaCuisine
E-mail: info@ninjacuisine.com.au
HP: http://ninjacuisine.com.au

Azumi Sento

Azumi Sento
高知県生まれのライター&プランナー。地元のデザイン会社で約8年勤めた後、海外暮らしを体験してみたいと思い2016年にオーストラリアへ。広大な大地やインド洋のビーチなど、感動の風景を見にすぐいけてしまう魅惑の都市・パース暮らしを満喫中。パースの素敵なひと・もの・ことを発信していけたらと思っています。
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