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【特集】パースで輝くビジネスパーソン 第4回:和牛焼肉 炭屋 吟 廣澤さん

2017.03.01.(Wed)Masahiro Natori By.Masahiro Natori
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シドニーでの焼肉屋経営を経て、新店舗をオープン。
最高品質のオーストラリア産和牛を多くの人に味わってもらいたい。

第4回 和牛焼肉 炭屋 吟
廣澤さん

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オーストラリアで暮らす多国籍の人々からよく聞く言葉「I like Japanese food」。日本食ブームと言われ始めて久しいですが、その人気ぶりを肌で感じます。この人気を支えているのが海外に店舗を構える日本食レストランです。日本で料理人としての経験を積み、オーストラリアのケアンズ、シドニーで自身のお店を経営した後、パースに移り住み、2016年6月に焼肉屋「和牛焼肉 炭屋 吟」をオープンさせた廣澤さん。お店のメニューの魅力はなんといっても高品質のオーストラリア産和牛のさまざまな部位を比較的手頃な価格で堪能できること。お客様に喜んでもらえるようお店づくりにも工夫がいろいろ。競争の激しい海外の日本食レストランビジネスに長年携われている廣澤さんの思いや焼肉の焼き方など、お話を伺いました。
 
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●パースに来るまでは何をされていましたか?

私は栃木県出身で、実家が魚屋だったため子どもの頃から料理に興味がありました。高校卒業後、すぐに料理の世界に入り、日本のレストランで働きながら洋食、和食と料理の経験を積みました。また、24歳でオーストラリア・シドニーにワーキングホリデーで訪れ、日本食レストランで料理人として働きました。その後、知人から誘われて25歳の時にアメリカへ行き、日本食レストランを立ち上げたのですが、残念ながらビジネスビザが下りず日本に戻ることになりました。

日本に戻ってからオーストラリアで自分のお店を持ちたいと考えるようになり、まだ経験のなかった寿司づくりを学ぶため寿司屋で働き始めました。この間に、築地市場の競りに参加するなどして食材の仕入れ方などの知識も深め、資金を貯めました。29歳でオーストラリアに渡り、ケアンズの日本食レストランで料理長を務めて永住権を取得した後、テイクアウトの寿司屋、丼ぶりの店を創業しました。約10年ケアンズでお店を経営していましたが、その後、シドニーに移動してラーメン屋、オーストラリア産和牛を使った焼肉屋を始めました。

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●なぜパースに和牛焼肉のお店をオープンされたのですか?

シドニーに移動して約3年後、もう1店新たな店をオープンしようと場所と店舗を探していたのですが、なかなかうまく話がまとまりませんでした。そんな時にパースに出張する仲のいい業者の方と、西海岸のパースを訪れる機会がありました。パース市内を見て回ったところ、シドニーとは違い、焼肉屋はあっても和牛を味わえる店は少ないと感じ、ここパースに和牛を使った日本食のお店を立ち上げることに可能性を感じました。その後、シドニーのお店を知人に譲り、パースで準備を始めましたが、とんとんと話がまとまり、順調に開業の日を迎えることができました。今思えば、パースに呼ばれたのだと感じています。

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和牛焼肉を看板に据えたのは、お店の立地に関係があります。お店は多国籍料理店の集まるNorthbridgeにあり、パース駅から徒歩約15分と中心部から外れているため、お客様が足を伸ばしてでも食べたいと思える日本食のお店にすることが大切だと感じました。また、アジア料理のお店が並ぶエリアなので、手軽に焼肉が食べられる韓国料理店もたくさんあります。ほかのアジア料理や日本食レストランとの差別化を考え、高品質の和牛が食べられる日本スタイルの和牛焼肉店を開業することにしました。

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日本のホルモン焼き屋をイメージしたレトロな店舗

●「和牛焼肉 炭屋 吟」の特長は何ですか?

オーストラリア産の高品質の和牛を提供することにこだわっています。カルビやハラミ、ロースなどさまざまな部位を楽しんでもらえるのが特長です。オーストラリア産和牛の各部位や種類を入手する独自のルートを持っているので、なかなか一般の焼き肉屋では味わえない高品質な肉、特別な部位などを提供できるというのも特長です。

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和牛といえば、霜降り肉サーロインのことだと思っている方もまだまだ多いようですが、私が取り扱っている全ての牛肉は和牛です。時々「WAGYU」はないのか、と聞かれることもありますが、そんな時には、サーロインだけが和牛ではないことを説明しております。やはり日本の焼肉の魅力は、いろいろな部位の味を堪能できることだと思っています。

また、値段設定と質についても努力しています。和牛の仕入れには妥協しないようにしているため、高品質の証である「9プラス」の和牛のみを仕入れています。これは高級レストランが使っているものと同じものなのですが、価格はそのほぼ半額程度で提供しています。

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9プラスのオーストラリア産和牛

しかしながら、オーストラリアでは、安定的な肉質の和牛を入手するのが難しく、その点では苦労しています。「9プラス」の和牛を買ったのに、いざ届いて見てみると「8プラス」ほどの肉質だったりすることがあります。こういう場合は、その肉質にふさわしい価格に変更してメニューに加えています。利益を考えれば損してしまうのですが、これも、高品質の和牛を多くの方に味わってほしいという思いが強いからこそ、このような料金設定にしています。

●オススメのメニューを教えてください。

お店としてのオススメはカルビです。ただ、カルビは脂が多いので、焼くと炎が上がり、肉を焦がしてしまうお客様が多いようです。カルビを美味しく焼くにはちょっとしたコツがあるんです。炎が上がったら一度、炎から肉を離して、落ち着いてからまた焼くことを繰り返すことです。焼き加減は、ミディアムレアが一番です。うまく焼けると本当にジューシーで香りのいい焼肉が味わえます。和牛は焼いた時に脂のいい香りがするのも魅力なので、この香りも楽しんでほしいです。

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独自に調合したオリジナルのタレも是非味わっていただきたいです。どの肉にも合うように調合するために研究を重ね、今の味にたどり着きました。甘すぎず、辛すぎずのちょうどの味に仕上げられたと思っています。

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また、お金を節約しがちなワーキングホリデーなど価格重視の方にも美味しく焼肉を味わってほしいと思い、メニューには書いていないのですが価格を抑えた30ドルのワーキングホリデースペシャルセットを用意しています。前日までの予約必須、20時以降の提供になりますが、ぜひ一度味わってみてほしいです。これと合わせてぜひ、高品質の和牛メニューも食べてもらいたいです。オーストラリア産和牛は味のクオリティーは高いのに、東南アジア、中国、香港などには輸出されていますが、ほとんど日本で出回っていません。日本でオージービーフといえば赤身の肉で有名ですが、「こんなに旨い和牛もある」ということをオーストラリアにいる間にぜひ知ってほしいです。

●海外で行う日本食レストランビジネスの魅力はどんなところですか?

日本だと100%ターゲットが日本人なので日本人の嗜好に合わせたお店やメニューづくりに関しての競争が激しいです。海外は違っていて、イタリア料理、ベトナム料理など料理の種類そのものが選ばれる対象ですし、それを経営しているのはほぼその国から来た移民です。そういった多国籍料理の中の日本食として勝負できることと、日本食を多くの人に紹介できることに面白みがあります。

日本人以外の方にとっては私のお店に焼肉を食べに来ているというよりは、日本食を食べに来ている感覚でいるので、日本の焼肉屋ではメニューにないような、寿司やたこ焼きなどもメニューに加えています。このメニューを入り口に、和牛を味わってもらえたらいいと考えています。さらに、オーストラリアではプレミアムなものが求められる傾向があるので、原価の高いプレミアムな肉を提供することで数ある日本食のお店の中での独自性を出しています。

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多国籍料理の飲食店が集まるNorthbridge

●パースでお店を経営する面白みはどんなところですか?

シドニーなどの大都市と、パースなどの小都市では、お客様の嗜好や行動パターンが違うように思います。例えば、シドニーには飲食店がとても多いので、お店のコンセプトを絞り込んだものにしないと勝負できなかったのですが、パースはマーケットが小さいのでもう少し幅をもたせたメニューづくりをしてもお客様に選んでもらえると感じています。また、シドニーでは少し歩けばすぐに飲食店が見つかりますが、パースはわざわざ足を運んでお店に行かなければなりません。その中で、来てもらえるように工夫する面白さがあります。

また、お客様はアジア人の割合が高いですが、ローカルのオーストラリア人も多く来店いただいています。シドニーではオーストラリア人はほとんど焼肉を食べに行かない傾向があったのですが、パースは違います。何か新しいお店、特に日本食のお店ができたら試してみようと出かける好奇心の強い人が多いようなので、ローカルの方々にも日本食を味わってもらえる機会が多くあるという意味でもパースは魅力的な土地です。

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●GITSの予約システムを利用いただいたのはなぜですか?

これまでは電話で予約をいただいていたのですが、自分の都合のいい時間に気軽に予約したり、空席状況をチェックできるようにできたらお客様にとって便利だなと考えていました。そこで、今回、新たにホームページの制作をお願いし、オンラインで予約ができるようにしました。これでお客様の手間を少なくできたら嬉しいです。




今、ホームページからの予約は2時間までのお店利用としていますが、もし、誕生日などのお祝いがあり、長くお店を利用されたい場合は、時間の延長は可能ですので、事前にお電話いただけたら幸いです。

「和牛焼肉 炭屋 吟」さんの予約はこちらから!

●仕事をするうえで大切にされていることは何ですか?

「毎日反省」を大切にしています。お客様に満足いただくために、その場で働きぶりを振り返り、改善点を考えます。

現状維持でいいと思った瞬間からこれ以上伸びることはないと思っているので、常に24時間何がベストなのかを考えるように心がけています。

●これからの夢、やってみたいことは?

特上の美味しい和牛を仕入れて、お客様に味わってもらいたいです。オーストラリア産和牛のトップクラスは、日本の和牛の最高品質のA5ランクと肩を並べます。トップクラスの肉は本当に入手が難しく、今まで1度しか入手することができませんでした。お店のメニューとして出す時も、価格設定はほかに比べると高価にはなりますが、この肉を食べた方には本当に満足いただいています。

特上の肉がもっと入手できるようにお店を成長させたいですし、シドニーやメルボルンにある焼肉店のさらにその上をいく美味しい焼肉をここパースでお客様に楽しんでいただきたいと思っています。

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日本人の料理人として、オーストラリアで日本食の魅力を伝え続けている廣澤さん。今年オープンしたばかりの「和牛焼肉 炭屋 吟」さんは予約が取れない時もあるくらい人気となっています。これも、利益よりもお客様に美味しい和牛を食べてもらいたいという思いを強くもたれ、お客様の満足のために工夫と反省を惜しまない廣澤さんの料理人としての心意気のなせる技なのかもしれません。ぜひ、日本ではなかなかお目にかかれないオーストラリア産和牛の味を、オリジナルのタレと一緒に堪能しにお出かけください。また、パースという土地にはまだまだ日本食レストランビジネスが広がる可能性があり、大都市とは違った店舗経営の面白みがあるそうなので、料理人の方はこの土地で店舗経営にぜひチャレンジしてほしいです。
●DATA
Sumiya- GIN (炭屋 吟)
PLACE:Shop 3, 447 William Street, Northbridge, Perth, WA
OPEN:Mon – Sat 17:30-21:00 (L.O.) Sun Closed
TEL:08-6114-7083
HP:http://sumiya-gin.com.au/

Masahiro Natori

Masahiro Natori
こんにちはMasaです。39歳の時に16年勤めた会社を辞め、2013年4月に家族で日本からパースに引っ越してきました。2013年6月よりGITSに勤務。2014年1月にGITSのサポートでProgrammerとして457ビザを取得。 趣味は音楽を聴くことと、部屋のレイアウトを変えること、ドライブすること。
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